宇佐美 茂佳助教
主な研究
GaN/半導体プロセス欠陥制御/貫通転位解析/ナノパイプ変換抑制
森研究室在籍期間
2020年(7月)〜
入った研究室の教授が
ノーベル賞を受賞!
始まりはテレビで見た「高専ロボコン」だった。自分でも作ってみたいと高専に入学。チームの仲間たちと競技課題に挑み、アイデアをカタチにしていく過程でモノづくりの醍醐味と面白さにハマった。そして、編入した名古屋大学で運命的な出会いをする。視野を広げようと苦手だった電子工学をあえて選択。すると半導体に俄然興味が湧いた。担当の先生の話が論理的でわかりやすく、研究者としての人間性にも惹かれたからだ。その先生の研究室に入ってしばらくすると、何やら周囲が騒がしくなり、その先生がノーベル賞を受賞した。そう、宇佐美は青色LEDで一躍時の人となった天野浩氏の門下生なのだ。
光デバイスから次世代パワーデバイスへ
最先端分野の真っ只中を経験
最先端にいる人は、そのレベルが当たり前だから、えてしてそれを実感できないものだが、ノーベル賞によって宇佐美は自分の研究するGaN光デバイスが、世の中を変えた発明を引き継ぐものだと実感。GaNの秘めたる可能性を開拓すべく、天野研の研究フィールドが光デバイスに次世代パワーデバイスも加わって拡大したことから、博士課程に進んだ宇佐美もパワーデバイスに的を絞る。だが、目の前の疑問に純粋に向き合う宇佐美がテーマに選んだのは、結晶の中の「欠陥」だった。きっかけは試作したデバイスのほんのわずかな電流の漏れ。派手なテーマではないが、原因がわからない以上、見過ごせない現象だった。
悪さをする欠陥の正体とは?
世界の誰も知らない現象を解明
完全無欠な結晶は現実には存在しない。不思議なのは、欠陥だからといって必ずしも悪さをするとは限らず、悪さをしない欠陥もあるということ。宇佐美は世界に先駆けてGaNの欠陥に着目。原子配列の歪みから生まれる「転位」の中でも、悪さをするのは「螺旋転位」であり、螺旋転位が「ナノパイプ」に変換すると電流が漏れることを解明。欠陥の正体であるナノパイプを抑制する条件も突き止めた。その後、実用化につながる研究がしたいと一度企業に就職したが、天野研時代から親交のあった森ゆ研からの誘いを快諾。欠陥までも愛着があるという、異なる知見を持った結晶研究者が森ゆ研に新たに加わった。
もうひとつの勉強
関西のノリを勉強中。森ゆ研の人たちは学会でも打ち上げでもトークに命がけだと思っていたとか。さすがに話にオチをつけるのは、留学で学んだドイツ語より難しいというが、チームで取り組む研究に生かすべくトーク力を身につけたいと積極的だ。
学生時代(高専)
設計班の一員として挑んだ高専ロボコン。その年の競技課題には初めて「二足歩行」が義務づけられた。みんなでアイデアを出し合い、試行錯誤を重ねながら改良を加えていくプロセスがとても面白かった。ロボットが歩いたときは感動だった。
森ゆ研をひと言で
「夢を本気で語れる研究室ですね。研究面ではGaNを筆頭に社会で実際に役立つことに結びつく成果を次々に上げているし、半導体産業など日本の未来を担う人材をたくさん輩出しているのがスゴイと思います」