丸山 美帆子准教授

主な研究

尿路結石/結晶成長学/隕石研究/予防医学/有機分子マッピング

森研究室在籍期間

2009年〜

地球を救いたい!
純粋な思いは変わらない

その身振り手振りも、隙あらば笑いを取ろうとする喋りも関西人のようであるが、本当は関東人である。根は真面目で正義感が強く、小学生のときにオゾンホールのことを知り、「オゾン発生装置を作って地球を救うんだ」と研究者を志す。その純粋な思いのまま地球科学系に強い大学に進み、大気を学ぼうとしていたところに出会ったのが、隕石にできる結晶組織を再現しようとしていた恩師。「飛行機に乗って無重力実験をやらないか」と誘われた。「環境問題をやりたいなら、二酸化炭素を結晶化して固定化すればいい」という言葉が腑に落ちて、以来、様々な結晶に関わる研究の道を歩み続けている。

結晶+面白そうで
宇宙と医療をつなぐ

大学院では、バイオミネラリゼーションという有機分子と無機結晶の相互作用を研究。周囲には隕石や鉱石から地球および太陽系の起源を探ろうとする仲間がいて、その研究も手伝いながら大いに刺激を受けた。「尿路結石は隕石に似ている」と連想したのもその経験があったから。丸山がすごいのは、「だったら彼らの知識や技術を使って、これまでにない研究ができるんじゃない」と考え、すぐさま当時の仲間たちを集めてしまったこと。モチベーションの根っこは「面白いことが一番だけど、でも人の役に立ちたい」という思い。そのパッションが人と人をつなぎ、結晶を軸に宇宙と医療をつないだのだ。

待ち望まれている
医薬品の開発に貢献

そんな丸山の研究テーマは何かというと「結晶の多形制御」である。IoT社会を実現する結晶が注目されがちな森ゆ研だが、医薬品の成分物質となる有機低分子結晶も重要なテーマ。素材が同じでも条件がほんの少し違うだけで性質の異なる多種多様な物質になってしまうのが有機低分子のやっかいなところ。その多形現象を解明して制御できれば、もっとよく効く薬や待ち望まれている薬の開発が飛躍的に進む。結晶の塊である尿路結石も、形成自体をブロックするような治療法ができるかもしれない。丸山いわく「まるで謎解きのような面白さ」がこの研究の魅力。結晶の美しさに歓声を上げながら研究を続けている。

学生時代

当時、静置な環境でこそ最高の結晶が成長するというのが常識であり、撹拌して結晶を創りだす森ゆ研のことは異端視していた。まさかその研究室に入り、撹拌方法の原理を自分が解明するとは思ってもいなかった。

趣味/特技

いつもエネルギッシュな丸山の体には情熱的なスペイン人のDNAが組み込まれているのかもしれない。一生続けたいというフラメンコは趣味以上の生き様的な存在か。ソロでステージに立つのが目下の目標である。

森ゆ研をひと言で

「方向性を持ったカオスかな。別分野を覗くこと、新しいことへの挑戦をとても大事にしていて、既成概念を軽々と跳び越えちゃう。教授の森先生は直感の人だけど、それをもたらす知識の蓄積はハンパじゃないですね」