今西 正幸准教授

主な研究

結晶工学/半導体結晶成長/GaN/ポイントシード法/Naフラックス法

森研究室在籍期間

2010年(学部3回生)〜

専任所属となったのは2013年(博士後期過程)〜

配属を希望したのは
部活みたいだったから

まさか、配属された研究室が実は大きな壁にぶち当たっているとは知らなかった。工学部に入ったのだから世の中の役に立つモノづくりをしたいと漠然とは考えていたが、森ゆ研を希望したのは、見学したときの雰囲気が部活みたいだったのと、先輩たちがとても親切だったからだ。正直、研究内容はまったくわからなかった。「これが誰も創れなかった世界最高品質のGaN結晶だ」と言われても、確かにこんなに黒い結晶見たことないと、それが不純物のせいだともわからず感心していた。しかし、早くチームの一員として研究に貢献したいという気持ちは強く持っていた。それが学部4回生の頃だった。

本命ではない
傍流の実験に挙手

当時、研究室が直面していた壁とは、GaN結晶を大きくできないことだった。小さくて素晴らしい結晶はできたのだが、サイズを大きくしていざデバイスを作製しようとすると割れてしまう。そこで2つのアイデアが試されるのだが、今西は複数の結晶を合体させるという、常識外れのアイデに惹かれ、この実験は自分に任せてくださいと手をあげた。実は本命は別の方で合体案は傍流だった。当然うまくいかなかったが、今西は諦めることを知らなかった。合体する角度や条件を変えて実験に次ぐ実験。するとある日、装置の蓋を開くと目の前にはきれいに合体した結晶があった。研究の面白さにハマった瞬間だった。

壁をいくつも超えたところに
真のブレークスルーがある

やった! 起死回生の大逆転かと思いきや、研究は一筋縄にはいかないもの。合体しただけでは使い物にならなかった。ここで浮上したのが結晶が黒いことだ。黒いのは実は不純物によって原子の格子間隔が広がっているため。その歪みが割れの原因だとわかってきた。不純物が入るのは合体後の成長にムラがあり、ガタガタに成長するからだ。それを解決したのが、成長中の結晶を溶液から何度も浮上させるという、またまた常識外れの方法。森ゆ研得意の“じゃぶじゃぶ”撹拌法から発展した画期的な新手法で、研究の醍醐味であるブレークスルーを見事に達成。今西自身も森ゆ研を支えるリーダーとなっていた。

趣味/特技

休日は友人や家族と釣りに行ったりアウトドアを楽しむ。シュノーケリングも、磯の生きもの観察も大好き。スターウォーズなどSFの世界への憧れもあり、登場する戦闘機のプラモデルも作る。プロレスが好きで柔道の関節技も得意だ。

ベンチャー

大学発ベンチャーを次々と誕生させる森ゆ研では、新たにGaNベンチャーとして株式会社team GaNを設立した。GaN基板の商業化に向け、今西には技術面でのサポートが期待されている。

研究スタンス

ブレストを重ねながらアイデアを出し合い、チーム一丸となってテーマに取り組む研究に魅力を感じる。みんなを引っ張るリーダーというよりは、みんなを後押しする存在でありたいというのがポリシーだ。